![]() |
|
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
|
今日のストレージ産業は、デスクトップ用の主要なストレージ・インタフェースであるParrallel ATAからSerial ATA(SATA)への大きな転換期の真っ只中にあります。このような転換は、業界全体がシリアル・テクノロジを利用したコンピュータ通信に移行していることを意味します。将来のチップセットの主な要件は低電圧と低コストであるため、業界全体でSATA(Serial ATA)を採用する傾向が強くなっています。SATAの仕様では、Parallel ATAのコマンドセットとの互換性が維持されるように、注意深い考慮が払われています。さらに、SATAでは、新しいSAS(Serial Attached SCSI)規格と物理層での互換性がある小型・薄型・低コストのケーブルを使用できます。
Parallel ATAには現行の数倍以上の高速転送に対応するスケーラビリティが不足しており、パフォーマンスの限界に近づきつつあります。これに対して、Serial ATA(SATA)は 当初の1.5 ギガビット/秒(150 MB/sのデータ速度)から将来の3.0ギガビット/秒(300 MB/s)まで段階的に拡張する高速転送をサポートするように設計されています。
業界全体でチップセットのコア電圧を低減する傾向が続いているため、Parallel ATAの信号通信に必要な5ボルトの電圧の供給はますます困難になると思われます。Serial ATA(SATA)の信号通信電圧は約250ミリボルト(1/4ボルト)に低減できるため、SATAは将来の製造プロセスに適していると言えます。
現在のParallel ATAインタフェースでは、26個の信号ピンをインタフェース・チップに差し込む必要があります。Serial ATAに必要な信号ピンは4個だけであり、各ピンが効率的に使用されるため、高密度のチップに対応することができます。
Parallel ATAの大型リボン・ケーブルには、40ピンのヘッダー・コネクタが内蔵されています。Serial ATA(SATA)では簡素で柔軟性のあるケーブル接続スキームが採用されているため、長いケーブルを使用できるほか、シャーシ内部での通気流が向上します。
Serial ATAはレジスタのレベルでParallel ATAと互換性があります。したがって、Serial ATAに移行するにあたって、既存のソフトウェアやオペレーティング・システムを変更する必要はありません。Serial ATAには既存のオペレーティング環境と完全な下位互換性があります。
Serial ATA(SATA)によって提供される重要な機能や特長の1つは、フォーム・ファクターに関してSAS(Serial Attached SCSI)とSATA間の互換性がサポートされることです。SATAドライブはSASコネクタに直接差し込むことができます。さらに、システムによってサポートされる場合、そのSATAドライブはSATAデバイスとして透過的に機能します。そのため、高いパフォーマンスを必要とする処理についてはSASドライブを使用し、単位容量あたりのコストを抑える必要のあるストレージ・プラットフォームではSATAドライブを使用するといったシステム構成の配備が可能になります。
Serial ATA(SATA)は全二重プロトコルです。バスを経由する各デバイスから継続的に信号が流れます。デバイスとホストは伝送(TX)と受信(RX)を同時に実行します。
プリミティブはSerial ATA(SATA)プロトコルの最も単純な構成要素です。プリミティブは32ビットのDWORDであり、シリアル回線機能(X_RDY、CONTなど)の制御に使用されます。これらの「ハンドシェイク」機能とフロー制御信号のほかに、プリミティブはユーザー・データを区切って「フレーム」を作成するときにも使用されます。
フレームとは、ホストとデバイス間で交換される情報単位のうち、それ以上細かく分割できない情報単位を指します。フレームを形成する要素は、SOFプリミティブ、フレーム情報構造(FIS:Frame Information Structure)、FISの内容に基づいて計算されるCRC(Cyclic Redundancy Check)コード、EOFプリミティブです。FISはフレームのうち、ユーザーが定義するデータ部分です。上記で説明したように、フレームはホストとデバイス間で情報を交換するためのDWORDの集合です。
SATA(Serial ATA)は当初、デスクトップPCや家電製品をターゲットとする次世代ストレージ・インタフェースとして設計されました。しかしながら、ストレージ業界では、特に費用効率が重視される分野(サーバーやネットワーク・ストレージなど)において、SATAの機能が圧倒的に有利であるという認識が生まれました。それ以降、SATAの適用分野を広げるための機能や特性がSATAの開発計画に追加されてきました。
2002年後半にSerial ATA-II Phase 1が完成し、DMA(Direct Memory Access)やタグ付きコマンド・キューなどの高度な機能がSerial ATAに追加されました。これらの高度な機能はマルチユーザー環境におけるSerial ATAのパフォーマンスを向上させることを目的としており、デバイスのレベルで適用の有無を選択できます。
Serial ATA Working Groupは、300 MB/s規格の批准をまもなく開始する予定です。「フェーズ2」と呼ばれる300MB/s規格ではSATA-Iと同じケーブルおよびコネクタが使用されます。さらに、600ギガビットPHYデザイン(将来のSerial Attached SCSI規格の一部分)をSerial ATAで利用できるようにする600MB/s規格も計画されています。