電力―有効電力と皮相電力
電力の基本的な測定に関するチュートリアル

オシロスコープは電流と電圧 を測定して、演算のマジックを介して電力を計算します。しかし、電力には、瞬間電力、有効電力、皮相電力、無効電力など、さまざ まな“顔”があります。このことが混乱の原因になることがしばしばあります。本書では、 電力の測定にまつわるこうした混乱を整理していきます。

オシロスコープは、アナログ式であろうとデジタル式であろうと、 電圧に反応する計測機器です。電流測定には適切なトランスデューサ、 通常は電流プローブやシャントが使用されます。オシロスコープの画面には、 時間変化に対する電圧または電流の瞬間的な関数として表示されます。このときの 電圧と電流の積が瞬間電力です。正弦波を使って電力の基本的な測定を行ったのが図1です。

図1:電力測定の各要素。瞬間電圧(チャンネル2)、電流(チャンネル 3)、
電力(チャンネルA)。mean (A)パラメータから平均電力が求め られる/p>

 

瞬間電圧と瞬間電流の積が瞬間電力です(図1のトレースA)。 電力波形は、電流または電圧の2倍の周波数を持った波形とDCオフセット からなっていることに注意してください。DC オフセットは、 負荷に供給される平均電力を表します。記号Pで表される平均電力は、 単位ワット(W)で測定されます。図1では、meanパラメータを使用して電力波形の平均値 (この例では76.8 mW)を算出して平均電力を求めています。

有効(rms)電流と有効(rms)電圧の積が皮相電力です。皮相電力は、記号S で表され、 単位ボルト-アンペア(VA)で測定されます。図1の例における皮相電力は次式から求めることができます。

S=2.122*0.04223=0.896 VA

抵抗負荷については、皮相電力と平均電力で同じです。

平均電力と皮相電力の比が力率です。正弦波の場合、力率は電流波形と電圧波形がなす 位相角のコサイン(Cos)と同じになります。

電力のもうひとつの“顔”が無効電力です。記号N で表され、 単位ボルト-アンペア・リアクティブ(VAR)で測定されます。 無効電力は、平均電力と皮相電力の差を表します。

S2=P2+N2

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