シミュレーション
|
![]() |
![]() |
![]() |
図2:途中にインピーダンス不整合のある伝送線のシミュレーション(拡大表示) | 図3:途中にインピーダンス不整合のある伝送線のSpiceシミュレーション(拡大表示) | |
![]() |
||
図4:送信端で見た回路のステップ応答(TDR波形)(拡大表示) |
DFP2 DFP2は、X-Streamアーキテクチャを持つレクロイのオシロスコープ用に設定されたデジタル・フィルター・パッケージで、FIR (Finite Impulse Response), IIR(Infinite Impulse Response)の両形式をサポートし、Low Pass. High Pass, Band Passなど様々な方式のフィルターを実現できます。また、このフィルター・パッケージにはカスタマイズ機能が備わっており、任意のフィルター特性が実現できます。特にFIRフィルターでは、図5に示したメニューの右下で指定したテキストファイルを、トランスバーサル・フィルターのタップ係数として読み込むことができます。このフィルターのタップ係数は、フィルターのインパルス応答と同じものでなので、どのような回路モデルもインパルス応答が得られれば、この機能を使って適用できます。図6には、上のグリッドに実際に捕捉したステップ信号波形を示し、下には、Spiceシミュレーションを施した波形を示した。図から分かるように、Spice上のシミュレーション通りの反射波が下の波形上で確認できます。 |
|
Spiceシミュレーションとシリアル・データ解析
上に示したように、DFP2を介してSpiceシミュレーションが実測波形に適用できる事が分かります。SDAのシリアル・データ解析機能を使えば、このシミュレーション結果の波形データを使って解析が容易に行えます。図7は、実際の現場で問題となった3.125Gbpsのシリアル信号を示しています。伝送線の容量が過多で反射が起きているとの予測があります。SDAのISIプロット機能を使い、パターンごとの波形を観測したものです。この図では、どの波形がどのパターンに相当するかが分かりやすいように、後から画像にビット・パターンを書き足している。パターン0110と1001のパターンが、大きく落ち込んでいる事が確認できます。そこで、図8に示したように、LとCによる反射が波形歪の要因と考えた回路を想定してみました。この伝送線路モデルを使って、先に示したSpiceシミュレーションを適用してみます。
![]() |
![]() |
![]() |
図7:問題となった実波形のISIプロット (拡大表示) |
図8:想定した伝送線路モデル(拡大表示) |
図9では、上に実際に取り込んだ3.125Gbpsの信号波形を示しています。送信端で捕捉した信号波形は、プリエンファシスを抑えてあり非常にきれいな波形となっています。その下では、この実測した信号に図8の回路モデルを適用した波形を示しています。エッジの部分でオーバーシュートするのがL成分による反射で、それに続く落ち込みがCによる反射に相当するものであり、想定した回路の反射の特徴がよく現れています。このようにSpiceシミュレーションの効果を個々の波形で確認できたので、SDMのシリアル・データ解析が行えるように2Mワードという比較的長いメモリを使って信号を捕捉し、同様の処理を行いました。問題の要因と推定した回路の妥当性を検証するため、図7と同様のISIプロットを取って表示したのが図10です。ここで示した例では、問題のシステムとは別の信号源を使ってシミュレーションを行っていたり、問題のシステムの伝送線の情報などが不足しているので、詳細なシミュレーションとはなっていません。しかしながら、1001や0110のパターンの落ち込み具合など特徴的な波形の歪や、ISIの出方などはうまく再現できています。この結果から、問題となったシステムの伝送系には、推定したようなLやC成分が付加されている可能性が高いということが分かります。
![]() |
![]() |
![]() |
図9:Spice シミュレーションによる反射波形の確認(拡大表示) | 図10:SpiceシミュレーションによるISIプロット(拡大表示) |
まとめ
シミュレーションが発達している現在でも、実際の信号波形がシミュレーション結果と異なることが少なくありません。特に高速信号では想定外の要因が影響することが実測の重要性を高めています。一方、問題解決には実測した信号の解析結果から原因を抽出するという作業を進めなくてはなりません。この作業を効果的に行う手法として、実測結果とSpiceシミュレーション、およびSDAの持つシリアル・データ解析機能の融合を提案し、その有効性を示せたと確信します。
LeCroy Spice Resources | ||
![]() |
エレクトロニクス アップデイト 【2006年1月号】 回路シミュレーションのリアルタイム検証 オシロスコープにPSpiceを組込み実信号でシミュレーションを行う新手法 |
PDF File 470K |
![]() |
エレクトロニクス アップデイト 【2003年8月号】 Spiceによる伝送路シミュレーションを利用した、シリアル信号の評価 |
PDF File 600K |
![]() |
LeCroy 社デジタル・オシロスコープと回路シミュレータPSpiceA/D の連携例 | PDF File 420K |